健康経営 Q&A

職場復帰のためのフローチャート

メンタル不調者の休職は年々増加しており、休職からの復帰は産業医業務の重要な役割の一つです。復帰した社員が仕事に戻れるように支援するにはどうすればよいのか?再びメンタル不調を起こさぬよう、企業と産業医が連携し、十分な配慮が必要です。

休職~復帰までのプロセスを段階的にまとめたのが下記のフローチャートです。

(提供:小橋正樹先生)

厚生労働省からも「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」が提供されており、下記のチャートはそれをより、現場の経験を踏まえ、改変したものです。

ぜひ参考にしてみてください。

①第1ステップ 休業開始と休業中のフォロー

■休業の開始 

休業開始にあたり、主治医からの「診断書」が提出されます。休職の診断書が提出されたら、その社員は即日休職させましょう。

場合によっては産業医面談の予定までに日があく場合もあると思いますが、産業医面談を待たずに、主治医からの休職診断書に基づき、即日休職させるのが望ましいのです。休職診断書提出~産業医面談の間に何か起こった場合は安全配慮義務を怠ったと言われかねません。

産業医側は、その点を事業所の担当者に事前に伝えておくことも大切です。

■産業医による復職支援要否判定 

内容によっては一定期間の療養後、復職することを本人・事業者側が共通認識として一致しており、特に復職支援を要さないケースもあります。これは主に身体の病気の場合です。

休職診断書がでた社員について、まず、「復職支援を要するか否か」を産業医が判断します。

休職中のフォロー

休職中、月に1回事業所担当者と連絡をとり状況報告を行います。本人と担当者との連絡の取り方は電話、メールでも構いません。会社へ赴くのは、症状悪化のおそれ、通勤中の事故(休職中は労災が適応外)等のリスクからなるべく避けます。

連絡をとる担当者は所属部署上司であることが多いですが、メンタル不調の場合、部署関係者との接触で症状悪化の危険があります。担当者は人事スタッフなど、業務上直接関係のない方がいれば、その方が望ましいでしょう。

②第2・3ステップ 復職判定 

主治医から復職可の診断書があり、社員から復職も申し出があった場合、産業医面談を設定します。復職可と判定されても、最終的に復職させるかどうかは、事業者に決定権があります。その事業者が決定するまでのステップとして、産業医面談にて状態をより詳細に評価し、意見を提供します。

診断書の確認 

主治医からの診断書の内容ですが、ときに、「時短勤務なら復職可」「勤務日数の調整により復職可」など、業務軽減を前提にした診断書が提出される場合があります。

一方で事業者は「フルタイム勤務できるか」を判断基準としています。よって、事業所側の体制を加味し、場合によっては、フルタイム可能な状態まで休職延長を検討しなければなりません。

もちろん、復職にあたっては復職支援プログラムを作成し、段階的に通常勤務に戻していきます。ただし、その期間は通常数か月です。その期間内に回復の見込みが立たないような状態での復職はかえって状態を悪化させます。主治医とよく連携し、復職を許可すべきかどうか判断が必要です。

産業医による復職前面談 

主治医からの診断書がでてから、産業医による復職前面談をするまでの間、本人には生活リズムのトレーニングをして頂きます。

その中で、もとの生活リズムに戻っているか本人と確認します。具体的には、 起床時間、日中の過ごし方、他者とのコミュニケーション、食欲、睡眠リズム、などです。

これらの生活リズムに不安がある場合は、復帰には時期尚早です。 復職可能と判断した場合は、事業所に産業医意見書(書類テンプレートはこちら)を提出します。そして、事業所から最終的な復職の許可の判断がなされます。

②第4・5ステップ 復職支援とフォローアップ

産業医より「復職可」の意見書が提出され、事業者が最終的に「復職可」と判断した場合は、復職支援のスタートです。

試し出勤

休職の理由がメンタルヘルスの問題である場合、試し出勤は必須です。一般に、試し出勤は休職中という扱いの中で、事業所に出勤し軽作業を行います。しかしながら、試し出勤制度が設けられている企業はまだ多くありません。その場合は、個別に復職支援プログラムを作成する必要があります。

復職支援プログラムの作成 

復職支援プログラムの中で、段階的に勤務時間、作業内容を上げていきます。望ましいプログラムとしては、①時短勤務、②残業なしの定時勤務、③一定の残業時間までを考慮した定時勤務、と段階的に勤務時間を上げていくものです。

しかし、企業によって時短勤務不可、みなし残業代込みの給与体系のため、残業規制ができない、など個々の企業で規則が異なりますので、事業所側と相談の上、プログラムを作成することが必須です。

しかしながら、働き方改革も始まり、今後こういった休職者への対応が増えることを考えると、今後はあらかじめ各々の事業所が「復職支援プログラム」を制定しておくことが望ましいと考えます。

個々で対応することはトラブルの原因にもなります。まだ策定されていない事業所の産業医は、人事と相談し、今後積極的に策定を進めてみてはいかがでしょうか。

■復職後フォローアップ

復職後、1か月後に産業医面談を行いましょう。その中で、勤務時間の延長は可能か、人間関係でのトラブルはないか、身体的・心理的負担はないか確認します。睡眠、食欲など、本人の自覚のないところでSOSのサインが出ている場合もあります。生活リズムについてもよく聞いて、今後の復職支援プログラムの進め方を考えましょう。

また、人事、上司、同僚などからも普段の業務態度を気にかけてもらい、異変があったら、知らせてもらうよう周知します。復職支援プログラム中は、病院の通院も継続してもらいます。復職支援の中で、症状悪化がみられた場合は再度休職について検討します。

復職は、ご本人・企業・産業医の連携が重要です。復職がうまくいくと、従業員・企業の両者にとってハッピーな結果をもたらしますし、産業医への信頼度もあがります。復職支援プログラムの事前策定もぜひ積極的に進めていきましょう。

上記の中で紹介した「産業医意見書」テンプレートはメディカルコンチェルトの書類テンプレートより無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。

(メディカルコンチェルト編集部)